(a)パージ容器をパージ容器恒温装置に入れ、試料の温度を一定(例えば、40℃以下)にする。トラップ管の温度が室温程度であることを確認して、パージガスを一定量通気して対象物質を気相中に移動させてトラップ管に捕集する。
(b)トラップ管を加熱し対象物質を脱着させ、冷却凝縮装置に吸着(注14)させる。次に、冷却凝縮装置を加熱(注14)し、対象物質をガスクロマトグラフ質量分析計に導入する。
(c)ガスクロマトグラフ質量分析では、あらかじめ設定した特有の質量数について選択イオン検出法又はこれと同等の方法によって測定を行い、そのクロマトグラムを記録する。特有の質量数の例として、塩化ビニルでは62、64、内標準(塩化ビニル-d3)では65、67がある(注15)。
(d)保持時間並びに定量用質量数及び確認用質量数のイオン強度比を確認し、該当するピーク面積を測定する。
(e)塩化ビニル及び内標準(塩化ビニル-d3)のピーク面積比並びに内標準(塩化ビニル-d3)の添加量から、あらかじめ5により作成した検量線を用いて、塩化ビニルの量を求め、次式によって試料中の塩化ビニル濃度を計算する(注16)。
濃度(μg/L)=(検出量(μg)-空試験液の検出量(μg))/試料量(L)
(注11)装置によっては、パージ容器の代わりにバイアルを用いる。測定用試料をバイアル中で調製した場合は、バイアルをパージ・トラップ装置にセットし、パージ・トラップ装置の取扱説明書等に従って操作し、測定用試料の一部又は全量をパージ容器に移し入れる。
(注12)空試験値については、可能な限り低減化を図る。
(注13)試料中の対象物質濃度や試験操作条件に応じて適切な濃度範囲を決める。実試料を分析する前に添加回収試験を行い、塩化ビニルの回収率が70〜120%であることを確認する。
(注14)冷却凝縮装置を使用しない場合は、この操作は省略できる。
(注15)特有の質量数は、イオン強度が大きく、実試料で妨害のないものを設定する。ここで示した例を参考に、最適な質量数を2つ選定し、強度の大きいものを定量用、他方を確認用とする。
(注16)塩化ビニルは、その保持時間が加えた内標準(塩化ビニル-d3)の保持時間と一致し、検量線作成時の保持時間に対して±5秒以内に出現し、かつ、定量イオンと確認イオンの強度比が検量線作成時の強度比の±20%以内であれば、測定試料中に存在しているとみなす。
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